第112回日本獣医麻酔外科学会
大会長 浅野和之
(日本大学 獣医学科)
2026年度第112回日本獣医麻酔外科学会学術集会の開催にあたり、ご挨拶申し上げます。
本大会のテーマは「大胆に、そして丁寧に―より繊細な外科・麻酔パラダイムのために―」です。外科や麻酔では、ときに大胆な判断と実行が求められます。しかし、その一歩を確かな成果につなげるには、術前評価、外科的手技、麻酔管理、疼痛管理、術後ケアに至るまで、緻密で丁寧な積み重ねが欠かせません。大胆さと丁寧さは相反するものではなく、両者を高い次元で両立させることこそ、より安全で質の高い獣医療につながる――その思いを本大会の根幹に据えました。日々の診療で抱える迷いや課題に対し、新たな視点と実践のヒントを持ち帰っていただける場にしたいと考えています。
基調講演では、国立がん研究センター東病院・頭頸部外科医長の富岡利文先生をお招きし、頭頸部外科の実践と切除後の高難度再建術をいかに繊細かつ丁寧に遂行するかをご講演いただきます。また、招請講演では、国立がん研究センター中央病院インターベンショナルラジオロジー(IVR)センター長の菅原俊祐先生に外科だけに頼らないIVR治療についてお話しいただきます。獣医療では外科医がデバイスやカテーテルを用いた治療や手術に関わる場面も多く、このような低侵襲治療の適応をどう見極め、どのように獣医療に取り込むかを考える絶好の機会です。
整形外科部会、軟部組織外科部会、麻酔疼痛部会によるシンポジウムやパネルディスカッション、日常診療に直結する教育講演も多数そろえました。若手の先生方はもちろん、経験豊富な先生方にも新たな発見のある内容となっております。さらに、ハートウォーミング企画では、立命館大学産業社会学部メディア社会学専攻の筒井淳也教授にご講演いただきます。大会に先駆けてレジデントフォーラム、サテライトセミナーおよび日本獣医顎顔面口腔外科研究会のシンポジウムも開催され、さらに専門医を囲むファイアーサイド企画もあり、世代や立場を越えて学び、語り合える場を用意しています。
第30回日本獣医内視鏡外科学会が同時開催となり、本学会とはエネルギーデバイスの共同プログラムも実施いたします。内視鏡外科は低侵襲治療の重要な柱として、本学会においても関心の高い分野であり、多くの参加者にとって示唆に富む企画になると期待しています。また、日本獣医リハビリテーション学会による企画も加わり、外科・麻酔を核としながら、低侵襲治療から機能回復まで見渡せる多彩な学術集会となりました。企業展示コーナーの充実、キッズコーナーの設置など、参加しやすい環境も整えています。明日からの診療を変える学びと出会いを、ぜひ本大会で体感してください。皆様のご参加を心よりお待ちしております。